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結婚式してみました
 さて、いよいよ結婚式当日の朝。

式の開始は12:30。会場には11:30までに着かなければいけないので、何時にメイクアップに行ったらいいかとたずねると、なななんと7:30に来いとのこと。相方と吐く息も凍る早朝に、韓服(チマチョゴリのことね)の袋を担いで出発。家を出たところで相方が、『よぉし、結婚しに行くぞ』と呟いたのにちょっと笑ってしまった。

メイクはもう2回目とあって、さっさと済んでしまい、予定より早く式場に到着。前の組の式もまだ始まってません。ドレスにタキシードの私たちはそそくさとフロアの奥に身を隠し、相方と『(前の組の)式始まったら乱入して来れば?「卒業」みたいにさー』と冗談なぞ。そのうち、『新婦待機室が空きましたのでどうぞ』と通される。ここで花嫁は式開始までの間ボーっと座り、覗きに来てくれた人に挨拶したり写真を撮ったりする。
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その間、だんだん外に会社からの花輪が飾られたり私たちのスタジオで撮った写真パネルが置かれたりと準備が進み、気の早いお客さんがちらほらと現れて、両家族と相方は挨拶に回っていた。写真撮影の人が入ってきて、『じゃ、新婦は新郎のほっぺにチュウしてー』というのでその通りにしたら、こってり塗りたくられたリップグロスが『これがキスマークでごんす』といった趣で相方の頬にくっきりはっきりと。慌ててメイクのおばちゃんがふき取ってました。

そうこうしているうちに、『じゃ、入ってくださーい』と呼ばれたので、会場の入り口へ移動。どういうわけか席についている人はあまりいなくて、会場の後ろの方にやたら人が固まって何やら私たちに『おめでとー』とか言っている。こういうもんなのか?まず、ウチの母と母様が手を繋いで入場し、壇上のろうそくに点火。その後新郎が入場し、最後に新婦と父入場。父は簡単に私の手を取ればいいだけなのに、緊張しているのかやたらと握りこんでくるのがちょっと可愛かった。司会の『新婦入場!』の声と共に一歩踏み出す…と、ここで新婦、ドレスの裾をベタ踏み!!
『アッ、ド、ドレスッ、ちょちょちょっとっ』
などと呟きながらいきなり前のめりです。
バージンロードで豪快に転んでパンツ丸見え、なんて展開はいくら私でも断じて避けたいところなので慌ててアバババとスカートの中から裾を蹴りまくり、ほうほうの体で新郎の所までたどり着きました。相方の手を取って何とか壇上へ。もうこの段階では、ドレスのおかげで感動もへったくれもございません。

さてここで壇上におわしますのは、主礼(ジュレ)さんという、日本で言えばお仲人さんみたいな人。本来は新郎の上司や恩師が引き受けるものらしく、職業も会社社長とか大学教授とか、なにやらやんごとない地位の方が多いようです。さすが韓国。ウチの場合は父様の学生時代のお友達ということになりました。

私、本当は主礼さん、日本語のできる人が良かったのです。いくら韓国での式とはいえ、うちの家族だっているんだし、結婚って基本的にはイーブンでなくちゃ、と思っていたので。しかしなかなか適した人材もおらず、仕方なく韓国語で。

壇上に上がって、まず新郎と新婦が向かい合ってお辞儀。
それから主礼さんの媒酌で『結婚宣言』(夫婦となることを誓いまーす!というあれ)をし、主礼さんの手から受け取った指輪を交換して、主礼さんのありがたいお言葉を頂きます。この主礼さん、クリスチャンだと思うんだけど、最後に『お祈りをします』と言って、何と突然英語で祈祷された。多分、私のことを考えて、でも日本語が出来ないからこういうことになったのだろうけど、その気持ちがうれしかった。私たちを含め、会場のほとんどが『なんて言ってるかわかんない』状態だったとしても。

ここまでで、本来韓国の結婚式に必要とされる部分の90%は終わりなのです。
あとは、お辞儀して退場するくらい。ここでお友達が歌を歌ったりするケースもあったりするけど、ウチの場合も例に漏れず、本当は父様方の親戚のおじさんが歌を披露する、はずだった(最初聞いた時はギョエーヤメチクリ!!と内心のけぞったもんだ)。が、幸か不幸か直前になってそのおじさん、『やっぱしハジカチィ』というまたしてもトンデモな理由で辞退。ドタキャン。さすが相方の親戚だけあって、侮れません。フゥ←額の汗を拭う。

で、このままあっさり退場するのもどうか(だって所要時間正味15分)、という表向きの理由で私が両家の親に手紙を読むという企画をアピール。日本では新婦の手紙は半分必須みたいになっているけど、韓国では実はほとんどやらないのです。

私だって本当は、やりたくてやったことではなかった。
本来手紙なんて、相手に読んでもらうために書くのであって、読み上げて聞かせるために書くものではないと思っているし、なんだかお涙頂戴、みたいな感じがしてイヤだったのだ。でも、日本語を話せる主礼さんが見つからなかったということは、式の100%が韓国語で行われるということであって、わざわざ日本から来てくれる家族に対して、それだけは受け入れられなかった。それが本当の理由。

無理やりプログラムに手紙朗読をねじ込んでもらい、事前に準備した韓国語と日本語の手紙をスタッフの人に渡しておいて、主礼さんの話が終わった後読ませてもらった。
まず相方の父母様に韓国語で手紙を読み、その後ウチの両親に面と向かったら、すでに母がハンカチを握り締めている。出だしの『おとうさん、おかあさん、』、コレだけで母はボロボロ、妹までハンカチで口を押さえている。どんな涙腺全開家族だ!!さすがにそんな母を見て、私の涙腺もうるりと来たけれど(遺伝恐るべし)、『何のために朝7時半にメイクスタジオに行ったの!!』と、自分に言い聞かせ何とか涙を流すことなく手紙を読みきった。

これが、後から相方に聞くとかなり『よかった』そうで、日本語で読んでるからなんて言ってるかわからないはずなのに、参列した韓国人ゲストの何人かはもらい泣きしていたそうです。相方も、ボロ泣きの母を見て『俺泣きそうになっちゃった』と言ってました。涙をこらえて手紙を読む花嫁の横で、花婿が号泣してたらそれはそれでオモロイ画だったんだけどなぁ。さすが東洋のイタリア人、情熱の韓国人です。

それが終わってから、両家の両親に向かってお辞儀、最後に会場の皆様に向かってお辞儀。新婦はドレスなので普通のお辞儀だけど、両親にお辞儀する時は、新郎はクンジョル(立った状態から土下座)をするのが一般的。見慣れた光景ではあったけれど、相方がウチの両親の前で床に張り付くようにジョルをした時には、ちょっとじーんと来てしまった。で、晴れて新郎新婦揃って退場。祝砲も、でかいヤツが鳴りましたよ。実はこの最後の退場の時が一番楽しかった。日本の式と違って、友達や親戚が拍手に『いよっ、めでてえな!!』『くぬやろ、オメデトー』みたいな声とか指笛とか、それは暖かくにぎやかに送ってくれる。私も相方も、遠距離を始めた2年前からようやくここまで来たというある種の達成感で一杯だった。

が、しかーし。
これで潔く退場させてくれないのが韓国式。バージンロードの端まで来たら、早速煌々と照明がついて新郎新婦はそそくさと来た道を戻り、壇上で記念撮影の嵐。
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親戚と撮ったり
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一人で撮ったり。
ちなみに上の集合写真は、ほとんどが相方の親戚です。ウチからは両親と兄弟二人しか参加してないので。

写真撮影が終わったら、お客さんはビュッフェに移動して食事、その合間に私たち夫婦は韓服に着替える。ビュッフェに入ったら、相方と一つ一つのテーブルを回って挨拶。その合間を縫ってかるーく食事…と思ったら甘かった。ほとんど絶え間なく人が話しかけてくるので、食べる暇なし。ちなみに韓国の(特にビュッフェスタイルの)結婚式の食事には、ククスと言ってそうめんのようなうどんが出ることが多い。これは日本の紅白そうめんも同じだけど、『細く長くお幸せに』と言う意味。独身の友達には『いつククスを食べさせてくれるの?(=いつ結婚式に呼んでくれるの?)』と言うこともある、と昔何かの本で読んだ。ウチらのビュッフェにももちろんククスが出たけど、私はそれには目もくれず、5分の間に生牡蠣3個とユッケと刺身というナマモノばっかり(だって好きなんですもの)をお口に詰め込み、ナマグサイ息をムハーと吐きながら再びサササーーーと移動。

お次は、ペベクという韓国の伝統的な儀式。
もともと、新婦が新郎の家族や親戚に『嫁に来ました』と挨拶するためのものらしい。従って韓国の結婚式場はほぼ『ペベク室』なる設備を備えている。ペベク室に行くと、普通の韓服の上にやたら袖の長いガウンのようなものを羽織らされ(藤子不二雄の漫画にでてくる『ハカセくん』といった風情)、胸の辺りを刺繍の入った帯で着物のように縛り、小さい帽子を被って太くて長い(キャッ)かんざしを後頭部にぐっさりと刺す。さらに、帽子の後ろからピンで黒い布を背中の方に垂らし、かんざしにも刺繍入りの布を巻きつけて、垂らす。仕上げに赤い丸を両方のほっぺたに張って、花嫁いっちょ上がり。

このほっぺの●、おてもやんみたいなんだけどどうやら魔除けの意味があるらしく(韓国では伝統的に、赤は魔を除けるという意味があるようです。お赤飯やあんこ餅も然り)、私に衣装を着せてくれたおばさんは、『今日は紙じゃなくて、バラの花びらを丸くくりぬいたのよ』と、それをローションで頬に貼り付けてくれた。ハカセ君の袖を手繰って両手を重ね、その上に白い布をかけて準備完了です。
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まず相方の父母様がテーブルに座り、私たちがその前に立って2回半クンジョルをします。その時新婦のジョルは、両手を合わせて目の高さまで上げた状態でスルスルスルと座っていき、最後は胡坐で両手と頭をその形のままズズズィッと前に押し出す感じ。これをおばちゃんに手伝ってもらいながら2回やった後、新婦が杯を持ち新郎がそれにお酒をついで父母様に差し上げ、父母様は乾杯した後それを飲み、テーブルの上のおつまみにちょっと箸をつけて、新郎新婦に手向けの言葉を贈る。それから、新婦の手にかけた白い布の端を新郎が持ち、父母様はテーブルの上の栗となつめを布に向かって投げつけます。何個キャッチできたかで、将来子供が何人出来るかを占うというもの(栗=男児、なつめ=女児…だったか?)。私たちは栗5つになつめ3つ。
そんなにいりません。
ちなみにこの時キャッチした栗となつめは、すかさずおばちゃんがビニールに入れて渡してくれました。相方によると、これを新婚初夜に食べると、その通りに赤ちゃんが生まれるんだとか。
だからそんなにいりませんて。
それをウチの両親、父様方の親戚、母様方の親戚と繰り返し(栗投げはなし、ジョルは一回)、封筒に入ったお祝いを頂きます。本来はこれで新婚旅行に行くらしい。で、最後に相方の弟氏(=夫の独身の弟をドリョンニムと呼ぶ)にも。

結婚式してみました_b0039905_11535026.gifドリョンニムの時は、お互い同時に一回ジョルをします。新婦のジョルも、手は前で重ねず、うーん何と描写したらいいのやら、気をつけの姿勢で両手首だけがピコンと上を向いているというか…そうそう、汚いマウス画で申し訳ありませんが、何かこんな感じです。心の中で『ゆうこりん♪』と呟いてしまいそうな、そんな感じでこのままするすると座ります。

ここまで終わったら私たち夫婦がテーブルの前に向かい合って座り、お互いにお酒を注いで、腕を交差させて飲みます。これが夫婦の杯、ラブショット(韓国語では何度聞いても『ロブシャッ』に聞こえる)です。その後新郎は新婦の口になつめをくわえさせ、そのなつめを二人で齧るという、これまたハズカシイベント。最後に新郎が新婦をおんぶして部屋を一周し(一生面倒を見ますよ、という意味)、これでペベクまですべて完了、お疲れ様でした。ウチは新婚旅行は『お預け』。だもんで、この後は家族を連れて新居に案内し、夜は両家族揃って静かに食事をしました。

こんな具合で無事結婚式終了。
ここまでお付き合い頂いた皆さん、写真を送ってくれた欽ちゃん、ありがとうございました。
ふー。


やっぱし、分ければよかった…ボソ。
by たまきち | by tamakichy | 2005-01-12 17:27 | 日韓国際結婚
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